オプション取引のスプレッド戦略とは

オプション取引の面白いところは、複数の権利を組み合わせることで「多少予想が外れても大丈夫な設計」や「一定の範囲に収まれば勝ち」という戦略が作れる点です。これをオプションの「買い」と「売り」組み合わせた「スプレッド取引」と呼びます。

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オプションのスプレッド取引の基本

スプレッド取引とは?:リスクとコストを自在に操る技術

オプション取引の醍醐味は、単に「買う」「売る」だけでなく、複数の銘柄を組み合わせる「スプレッド取引」にあります。スプレッド取引とは、権利行使価格や満期日が異なる複数のオプションを同時に売買する手法のことです。

オプションの「スプレッド取引」ってなに?

美食投資家
美食投資家

権利行使価格や満期日の異なる複数のオプションを組み合わせる取引です。

なぜこのような複雑なことをするのか。その最大の理由は「リスクの限定」と「コストの削減」の両立にあります。例えば、日経平均が上がると予想してコールオプションを単体で買う場合、予想が外れれば支払った購入代金はすべて失われます。しかし、同時に別の高い権利行使価格のオプションを売れば、その分だけ受け取った代金を初期コストの補填に回せます。

また、オプションの「売り」は利益の確率が高い反面、理論上の損失が無限大というリスクがありますが、スプレッド取引なら「買い」を組み合わせることで損失の最大額をあらかじめ固定できます。これにより、証拠金を抑えつつ、初心者でも比較的安全にプロのような戦略を組み立てることが可能になります。「相場が上がるか下がるか」という二択を超えて、「どの範囲に収まるか」という確率のゲームに持ち込めるのがスプレッド取引の真髄です。株式投資では「上がりそうだから買う」ことが一般的です。逆に言えば株式が上がらないと収益が上がりません。株式が下がった場合に収益を得るためには先物取引などで売りから入る、「下がりそうだから売る」ことが必要です。では「上がりそうもなく」、「下がりそうにもない」時にはどのように収益を獲得したらよいでしょうか?オプション取引を活用するとそのような時にも収益を獲得できます。

ブルスプレッドとベアスプレッド:方向性を低コストで狙う

相場の方向性がおよそ見えている時に、非常に効率的なのが「ブルスプレッド」と「ベアスプレッド」です。これらは「デビット・スプレッド(支払型)」の代表格です。

「ブルスプレッド」?「ベアスプレッド」?

美食投資家
美食投資家

ブルは強気(上昇)、ベアは弱気(下落)を意味します。なのでブルスプレッドは相場上昇を期待しているときに有効です。

ブルスプレッド(強気戦略)は、日経平均の上昇を期待する時に使います。現在の価格に近いコールを買い、それより高い権利行使価格のコールを売ります。これにより、純粋なコール買いよりも安くポジションを持てます。日経平均が上昇すれば、買いの利益が売りの損失を上回り、利益が発生します。ただし、売った価格以上に上昇しても利益は一定以上増えません。「爆発的な上昇は期待しないが、手堅く上昇を取りたい」時に最適です。

一方のベアスプレッド(弱気戦略)は下落を狙う手法です。現在の価格に近いプットを買い、それより低い価格のプットを売ります。暴落対策としてプットを買いたいけれど、保険料(プレミアム)が高いと感じる場面で有効です。売りの利益が買いのコストを相殺してくれるため、相場が動かなかった時の損失を最小限に抑えつつ、下落時の利益を待つことができます。どちらの手法も「最大損失額がエントリー時点で確定している」ため、精神的な負担が少ないのが大きなメリットです。

ブルスプレッドとベアスプレッドの損益グラフ

ブルスプレッドの例として、日経平均を40,000円で買う権利(コールオプション)を400円で買うと同時に、41,000円で買う権利(コールオプション)を300円で売った場合の損益は以下のグラフで表せます。コールオプションを買っただけの場合の最大損失400円に比べて、ブルスプレッドの最大損失は100円(=400円-300円)に抑えられています。

ブルスプレッドの損益

ベアスプレッドの例として、日経平均を40,000円で売る権利(プットオプション)を400円で買うと同時に、39,000円で売る権利(プットオプション)を300円で売った場合の損益は以下のグラフで表せます。プットオプションを買っただけの場合の最大損失400円に比べて、ベアスプレッドの最大損失は100円(=400円-300円)に抑えられています。

ベアスプレッドの損益

オプションのスプレッド取引の発展形

ストラドルとストラングル:激動の相場を味方にする

「どちらに動くかは分からないが、とにかく嵐が来る」と予想する場面で使われるのが、ストラドルとストラングルです。これらは「ボラティリティ(変動率)を買う」戦略とも呼ばれます。

「ボラティリティ(変動率)を買う」戦略?

美食投資家
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上がるか下がるかではなく、大きく動くことを期待して取るオプション独自の面白い戦略です。

ストラドルは、同じ権利行使価格のコールとプットを同時に「買う」手法です。損益グラフは現在の価格を底にした「V字型」になります。日経平均が上下どちらかに大きく突き抜ければ、一方の損失をもう一方の利益が大きく上回ります。権利行使価格が同じであるため、少しの動きでも利益になりやすい反面、両方のプレミアムを支払うためコスト(最大損失)は高くなります。

対してストラングルは、現在価格から少し離れた(外側の)コールとプットを同時に買います。ストラドルよりも安いプレミアムで仕込めるため、より少額から始められるのが魅力ですが、利益が出るためにはストラドル以上に大きな価格変動が必要になります。グラフは「底の平らなU字型」になります。

これらは重要な経済イベントや決算発表前など、市場がエネルギーを溜めている局面で威力を発揮します。方向性を当てる必要がなく、「動くか動かないか」だけに集中すればよいという、オプション独自の面白い戦略です。

ストラドルとストラングルの損益グラフ

ストラドルの例として、日経平均を40,000円で買う権利(コールオプション)を400円で買うと同時に、40,000円で売る権利(プットオプション)を400円で買った場合の損益は以下のグラフで表せます。最大損失は800円ですが、相場大きく動いた場合には大きく収益を獲得することができます。

ストラドルの損益

ストラングルの例として、日経平均を41,000円で買う権利(コールオプション)を300円で買うと同時に、39,000円で売る権利(プットオプション)を300円で買った場合の損益は以下のグラフで表せます。最大損失は600円と先ほどのストラドルの最大損失800円より抑えられています。

ストラングルの損益

バタフライとコンドル:レンジ相場で「時間」を利益に変える

「今月の日経平均は、結局このあたりで収まるだろう」という、穏やかな相場予想で利益を狙うのが、コンドルやバタフライといった戦略です。これらは、オプションの価値が時間とともに減っていく「タイムディケイ」を利益に変える手法です。

「タイムディケイ」を利益に変える手法?

美食投資家
美食投資家

動かないことを期待して取る戦略で、株価が動かずに時間が経過すればするほど収益が上がるオプション独自の面白い戦略です。

バタフライ・スプレッドは、例えば39,000円のプットを買い、40,000円のプットとコールを売り、41,000円のコールを買うといった組み合わせです。中央の「売り」が利益の源泉となり、満期時に価格がちょうど中央付近であれば最大の利益が得られます。その形が蝶の羽のように見えるためこの名がつきました。リスクが完全に限定されており、少ない証拠金で仕掛けられるのが特徴です。

コンドル(アイアン・コンドル)は、バタフライの「当たり」の範囲を横に広げたような戦略です。例えば、38,000円以下にはならない、かつ42,000円以上にもならないという広いレンジを「売り」で囲い、さらに外側を「買い」でガードします。バタフライよりも最大利益は減りますが、利益になる確率(勝率)は格段に高まります。

これらの戦略は、プロの投資家が好んで使う「守りの運用」です。相場の大きな変動がない平穏な時期に、じわじわと利益を積み上げることができます。大きな一撃を狙うのではなく、確率を味方につけてコツコツ勝ちたい投資家におすすめの戦略です。

バタフライとコンドルの損益グラフ

バタフライの例として、日経平均を39,000円で売る権利(プットオプション)を300円で買い、40,000円で売る権利(プットオプション)と買う権利(コールオプション)をそれぞれ400円で売り、41,000円で買う権利(コールオプション)を300円で買った場合の損益は以下のグラフで表せます。期待通り相場が動かなければ200円(400円+400円-300円-300円)の利益が獲得できます。

バタフライの損益

コンドルの例として、日経平均を37,000円で売る権利(プットオプション)を140円で買い、38,000円で売る権利(プットオプション)と42,000円で買う権利(コールオプション)をそれぞれ220円で売り、43,000円で買う権利(コールオプション)を140円で買った場合の損益は以下のグラフで表せます。期待通り相場が動かなければ160円(220円+220円-140円-140円)の利益が獲得できます。

コンドルの損益

結論: オプションのスプレッド取引で「安定収益」を狙う

オプションのスプレッド取引を活用することで確率を味方につけてコツコツと「安定収益」を獲得する投資戦略を構築することができます。特にコンドルやバタフライは相場が動かなければ収益を得られるという、時間を利益に変える(「タイムディケイ」を取る)手法です。

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